美容業界で提供するサービス、働き方、集客から教育まで、多様化が加速する昨今。
「サロンワークや美容業界の課題を解決したい」「時代に沿ったサービスを提供したい」といった思いが原動力となり、日々“新しい美容のカタチ”が生まれています。
この特集では注目を集める6つの事例を紹介。ワクワクするような美容業界の未来が見えてくるはず!

photo:Kazushi Toyota(P.018-019,026-027) Gyo Terauchi(P.020-021) Takehisa Goto(P.022-023)
Yuri Yasuda(P.024-025,028-029) illustration:Yukari Sakuragi(P.022-023),326(P.028-029)
text:Natsumi Yoneyama(P.018-021,P26-027)、PREPPY(P.022-025,028-029)

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Category

VRで教育革命

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Category

オフライン×
デジタルの融合

MINX shibuya
smart salon

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Category

サロンDX

SENJYU

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Category

チームで戦う
サロン戦略

cinq

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Category

ヘアサロンの
メイク提案

SHEA.

6

Category

女性活躍推進

MAMABI PARK

美容学校から業界全体の
人材育成への意識をVRで変える!

VRを使った教育カリキュラムの構築に取り組む寺村優太さんは、自身が直面したヘアサロンの教育問題・人材育成にVRで一石を投じている。「新卒美容師の離職の原因をかなり分析しました。ひとつはカットやカラーの基礎がわからないこと。見て覚えろという文化の中では、自分で予測して自己解決しても間違っていることがほとんどです。もうひとつは、一般企業なら残業に当たるような勤務時間外の練習。他業界の友人に話すと大抵ブラックだと言われますよね。そもそも就活のときに、美容学生はなんとなく自分好みといった感覚で、見せ方が上手なサロンに流されてしまい、入社してみたらきちんとした教育制度がなかったということもたくさんあります」と寺村さん。美容学生が技術を身につけることで、入社するサロンの目利きができるようになれば、業界全体が変わる、そんな思いで美容学校にアプローチしているという。
現状の美容学校で習得できる技術は、主に国家試験の課題になっているワインディング、オールウェーブ、レイヤーカットの3つ。リアルなサロンワークで必要とされるそのほかの技術は後回しになってしまうという。そこで寺村さんが進めているのは国家試験対策をVRを使って最短で終え、捻出された時間をサロンで即戦力になるための技術習得に使うこと。それまで半年かかった技術の習得が、VRを使うことで3カ月間に短縮できた美容学校もあるそう。「VRを活用してアシスタント時のカリキュラムをすべて習得した状態で就職する状態を目指したいですね。即戦力として入社できれば、賃金アップにもつながります。サロンには新卒生であっても即戦力を雇う感覚で受け入れてもらえたら、1年目から活躍できる人材が増えるでしょう」(寺村さん)。

iii

東京都渋谷区神宮前4-18-9
ボヌール表参道3F
https://iii.tokyo.jp/

寺村優太

てらむらゆうた。株式会社iii(スリー)CEO。1990年3月7日生まれ。群馬県出身。山野美容専門学校卒業。美容師として活動しながら2020年「iii(スリー」を設立。次世代型シェアサロン「NEHAN」プロデュース、VR技術を活用した教育プログラムの構築など、業界のイノベーター的存在として活躍する。

技術習得スピードに驚きの声続々。
美容学生のうちにカット以外の技術が身につく!

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トップレベルの技術者の手技を主観で

ゴーグルに映し出される映像を真似て手を動かすことで、トップレベルの技術をトレースできる。自主練で変なクセや間違って覚えるよりも、まずはエアーで反復練習。ゴーグルがあれば時間や場所を問わず練習できる。

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“時間”も“場所”も超越してトップレベルの技術を学べる

福島県郡山市の国際ビューティ&フード大学校では昨年、『ゴールド』中村トメ吉さんと米田星慧さんを講師にメンズスタイリングのセミナーを実施。オンラインでは『ゴールド』のスタイリスト・アシスタントが画面越しにレクチャー、VRでは『ゴールド』トップスタイリストの手技を反復練習、最後にオフラインでウィッグでスタイリングを実践した。

サロンにとってもメリットあり!

遠方の美容学校での講習に赴くのは、サロンにとって負担がかかるのも事実。VRとオンラインを組み合わせれば遠隔で技術を共有することができる。またオンライン授業ではスタイリスト・アシスタントでもアドバイスが可能。

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全国14の専門学校で導入

技術習得のスピード感が話題になり、徐々に導入学校が増えている。中には生徒1人に1台購入してもらう学校も。

①札幌ビューティーアート専門学校

②仙台ビューティーアート専門学校

③国際ビューティ&フード大学校

④大宮ビューティー&ブライダル専門学校

⑤千葉ビューティー&ブライダル専門学校

⑤東京ビューティーアート専門学校
⑥東京ビューティー&ブライダル専門学校

⑧横浜ビューティー&ブライダル専門学校

⑨名古屋ビューティーアート専門学校

⑩大阪ビューティーアート専門学校

⑪広島ビューティー&ブライダル専門学校

⑫福岡ビューティーアート専門学校
⑬福岡ベルエポック美容専門学校

⑭沖縄ビューティーアート専門学校

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COAでは入社前研修に活用
即戦力として活躍できるように

『コア』代表の青木大地さんと、寺村さんは美容学校時代からの同級生で旧知の仲。サロン向けには展開していないものの教育改革を目標に、教材制作などで協力関係を築いている。『コア』では今年4月入社の新卒生全員にVRを貸し出し、自主練をしてもらうことで、即戦力へと育成。入社時には、カット以外の技術が身についている状態を目指して取り組みがスタートしている。

デジタルとリアルのいいとこドリ!
新しい顧客体験を創出する体験型サロン

今年1月に『ミンクス』がヘアケアメーカーミルボンとコラボして出店した『ミンクス シブヤ スマートサロン』。店内にはカラフルなミルボンのヘアケア商品がずらっと並び、サロンというよりもショップという印象を受ける。また中央には受付けカウンターがあり、左奥に技術スペースが広がっており、多くの美容室とはまったく異なるレイアウトになっているのが特徴だ。
これまでのヘアサロンとの最大の違いは、リアルとデジタルを融合した新しい顧客体験を届けていること。商品スペースと技術スペースが3:7という割合になっているのも、これが理由だ。ディレクターを務める池戸裕二さんは「商品スペースと技術スペースで連続性のある顧客体験を提供しています。お客さまご自身に自由に触っていただき、感じてもらうことができます」と話す。ミンクスではミルボンのヘアケア商品をオンラインで購入できるBtoBtoCのECプラットホーム「milbon:iD(ミルボンID)」を積極的に顧客に提案してきたことが大きな追い風に。来店時にその場で商品を購入しなくても、じっくり考えて、価格も検討しながら、顧客の自身の自由なタイミングで購入できるのだ。技術スペースでは各セット面にあるタブレットを通して、その日使用したシャンプーやトリートメントなどをすべてお客さまに共有することができる。
「店販の購入者比率も、金額(1万5000円前後)も『ミンクス』の中で渋谷店がトップ。売るだけでなく、『milbon:iD』を通したDMで、来店後にアフターフォローもできる。来店頻度を上げることも大切だが、デジタルを融合させることで体験価値を磨き、物販での売上げを高めていくことはヘアサロンの未来には欠かせないでしょう」(池戸さん)。

MINX shibuya smart salon

東京都渋谷区渋谷1-23-16
cocoti SHIBUYA 3F
TEL 03-6433-5553

池戸裕二

いけどゆうじ。『ミンクス』ディレクター/取締役。1978年1月20日生まれ。長野県出身。長野県松本理容美容専門学校卒業。サロンワークのほか、マネジメント、教育、雑誌撮影、セミナー講師など業界発展のため精力的に活動。

デジタルを活用して新しい顧客体験を!
技術と物販の相乗効果で売上を最大化!

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スペースの約3割がショップスペース

外から見るとまるでミルボンのヘアケア商品を取り扱うショップ。サロン流通ゆえにこれまでなかなか試す機会がなかったという人も、同店では自由に試せるのが特徴。商品提案力の高いスタッフが揃い、ゆくゆくは物販売上げと技術売上げが1:1を目指す。

ヘアケアとの新しい出合い方を提案

まずは1度お試し

DAGASHI

シャンプーやトリートメントの1回分のパウチをお試しで購入できる。その日スタイリストからおすすめされた製品をまずは1週間試してみたいというニーズにお応え。その後気に入ったらECで購入が可能。

AIによるかおりのマッチング

KAORIUM

一般的なヘアケア商品を選ぶ際には香りで選ぶという声も大きい。KAORIUMはミルボンのヘアケアを好みの香りに合わせてAIが提案。いくつもの香りをかぎながら、好きな香りを見つける体験としても◎。

サロン専売品を自由にお試し

季節や商品ラインアップに合わせて定期的にVMDの構成を変更。ランキング形式で商品を紹介するなど、消費者目線での選ぶ楽しさにも配慮。

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デジタルデバイスを活用した接客

『ミンクス シブヤ スマートサロン』では、施術で使用したシャンプーやトリートメントなどのヘアケア商品や、ヘアスタイルの仕上がりをすべて「milbon:iD」でお客さまに共有。サロンでの放置時間にタブレットで商品情報を見たり、帰宅後にサロンでの仕上がりをお客さまご自身が再現したいと思ったときにスマホから振り返ることができる。

① 各セット面に
タブレットを設置

商品を紹介できるように、各セット面にはタブレットを設置。直接は聞きにくい商品の価格や容量を自由にチェック。おすすめされた商品だけでなく、帰りがけに商品スペースで試したり、購入することも可能。

② QRコードをスキャン

来店客1人ひとりに顧客情報にアクセスできるQRコードを発行。セット面でこれを読み込むことで、設置してあるタブレットと「milbon:iD」に情報が連携される。

スタイルストックで使用した
ヘアケアやスタイルをお客さまと共有

スタイリストは各自のスマートホンからオンラインアプリ「スタイルストック」を通して、顧客の「milbon:iD」に情報をシェア。商品を選択したり、画像をアップするだけなので、直感的に操作できる。

「スタイル ストック」のログイン画面。ウェブアプリなのでダウンロードは不要。

施術で使った商品をタップして登録。ECでの売上げもスタイリストの売上げになる。

スタイルの画像や動画も「スタイル ストック」から共有が可能。

AI(人工知能)を活用した
デジタルサロン化計画始動!

森越さん率いる『センジュ』が活動を始めたのは2020年のこと。店舗をもたず、サロン所属のスタッフやフリーランスのスタッフがチームとして集まり活動すること自体が画期的で、当時の“新しい美容のカタチ”だったが、今、また『センジュ』は新たな挑戦を行おうとしている。 「デジタルサロン化構想を考え始めたのはずいぶん前のこと。集客サイトに頼らざるを得ない状況や、自己プロデュースで個人集客する時代となり、美容師が疲弊していく業界の“当たり前”を何とかしなければと考えたのがきっかけです。メタバースやデジタルショップの話題はずいぶん以前からありましたから、そんなデジタルサロンが現実化すれば、美容業界もずいぶん変わるだろうと考えていたんですよ。
そして3年前、大阪大学で教育支援デジタルクローン共同研究講座をもつ伊藤庸一郎博士と知り合い、博士が開発したAI(人工知能)技術があれば、僕が考える世界を実現できるんじゃないかと思うようになったのです。しかし、システム開発やデータ収集に問題はなかったのですが、専門分野だけに言語化が大きな課題に。そんなとき、オープンAI社のチャットGPTが発表されたのです。質問を入力すると、自然な文章を生成してくれるという画期的なAIシステム。これを利用することで、僕たちのプロジェクトも半年早く実現できるようになりました。ローンチは今秋。最初はカウンセリングをはじめとするお客さま相談からスタートさせる予定です。チャットGPTは今、世間で騒がれており、今後、このようなAIサービスがどんどん出てくることでしょう。社会のデジタルリテラシーが高まることは明白。僕たちのデジタルサロンがどんな変貌を遂げていくか、僕らも想像できなくなっていますよ」

SENJYU

チームで活動する美容のプロフェッショナル集団。“店舗を持たない美容室”として他社と協働し、全国の美容室で施術を行う新しい形の美容師グループ。4月に初のアンテナサロンを銀座にオープンさせた。

森越道大

もりこしみちひろ。『センジュ』代表取締役/一般社団法人 デジタルサロン協会 事務局長。ハリウッド美容専門学校卒業。所属していたサロンで2020年に社内独立し、SENJYUチームを創設して美容業界に新風を巻き起こす。2022年には株式会社SENJYUとして法人化。今年、一般社団法人 デジタルサロン協会 事務局長就任。

集客やカウンセリング、会計などをAIに任せ、
技術習得時間や余暇を確保

「デジタルサロン」とは

仮想空間(メタバース)にある架空のショップ「デジタルサロン」。自分の分身となるキャラクター「アバター」を配置し、現実世界と同じように会話したり、物を受け渡しすることができる。他業界では、すでに仮想空間内でコンサートやゲームイベントが開催されている。

森越道大は「パーマが得意な美容師」です!

ご予約は、カットとカラーで15時からですね。

お好みのスタイルは?

お会計は 1万3000円です。

空いた時間は技術向上に生かし、サロンではお客さまを待つだけ

空いた時間にインスタをチェックし、DMでお客さまをカウンセリングしているという美容師は多い。そんなお客さまとのやりとりをAIに任せることができるように。デジタルサロンを活用すれば、美容師本来の仕事“髪を切る”ことに集中することができる。

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『センジュ』がAI開発に行き着くまで……

外から見るとまるでミルボンのヘアケア商品を取り扱うショップ。サロン流通ゆえにこれまでなかなか試す機会がなかったという人も、同店では自由に試せるのが特徴。商品提案力の高いスタッフが揃い、ゆくゆくは物販売上げと技術売上げが1:1を目指す。

医療界のオンライン診療ができるなら、デジタルサロンも可能

コロナ禍により、医療界においてはマイナンバーカードを使ったオンライン診療が政府主導で促進されるようになった。IT化を進める社会の流れがデジタルサロン化を進める大きな推進力に。新たな技術が開発されたこともあり、よりリアルに具現化されていった。

自己プロデュースを第一とする状況に疑問を呈す

集客サイトやSNSの利用が当たり前となり、美容師の仕事はどんどん煩雑に。昼夜を問わず届くDM。SNSなどの編集作業に追われる日々。自己ブランディングより、技術向上のために時間を使うべきじゃないかと考えたのがデジタルサロン化計画のきっかけ。

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システムスタートは今秋! AIカウンセリング始動!

利用料は格安、美容師にとってのメリットは無限大!

美容師のためのシステムとして育てていくため、美容師&美容室の利用料は無料〜数千円となる予定。商材紹介や商品販売もできるため、協賛企業の協力を得て維持運営する。秋にシステムをスタートさせ、2027年までにすべてのサービスを導入する予定だ。

スタイリスト
小島夏生さん

『センジュ』には相談メッセージが毎日10件ほどくるのですが、その対応だけでずいぶん時間がかかってしまいます。これをAIが行ってくれるのならとても助かります。その分、お客さまと向き合う時間に使えますからね

アシスタント
林 輝さん

夏にはデビュー予定。集客サポートがあれば、デビューしたてでも350万円は売上げられるのでは。技術に不安はありませんが、まだカウンセリングに時間がかかるので、お客さまを理解したうえで施術できるのはメリットです

デジタルサロン化に必要なのは、 AIを育てるためのデータ

AIがお客さまをカウンセリングするために必要なものが「データ」。髪質はもちろん、嗜好品や髪型チェンジの傾向、地域特性まであらゆるデータをAIにインプットしなければならない。それらデータをもとに、AIがお客さまをカウンセリングし、希望のスタイルに導いていく。データ提供数が多ければ多いほど、カウンセリングの精度は上がっていくというわけだ。現在、全国各地域の有力・有名サロンからデータが提供され、実用に向けて準備が進められている。

メンズカット

ショートカット

似合わせ

縮毛矯正

頭皮改善

エイジング

全国の賛同美容師人数

北海道:18人
東北:20人
北関東:59人
関東:376人

中部:35人
関西:55人
四国:20人
九州:25人

(2023年4月現在)

森越さんが目指す
「新しい美容のカタチ」とは?

「美容師はアイテムの活用能力がとても高いので、僕らが思いつかないような使い方をしてくるんじゃないでしょうか。でも、いちばんの目的はお客さまの満足度を向上させ、美容師が“美容師の仕事が楽しい!”と思える環境づくりに貢献することなんです」と森越さん。

●問い合わせ先/一般社団法人デジタルサロン協会
TEL:03-6271-0257 https://digital-salon.com

ブリーチカラーのマニュアル化で
チーム力を上げる

社内にブリーチに精通したスタッフがいなかったことから、『プネル/ソル(punel/sol)』の齋藤 剛さんなどカラースペシャリストに教えを請い、ブリーチテクを身につけた樋口さん。しかし、チームオーダーを掲げ、スタイリスト自らシャンプーし、手が空いたときは誰もがヘルプに入るなど、スタッフ全員でサロンワークに取り組む文化が醸成されている『サンク』では、技術を共有するためカラーマニュアルを制作し、全員で技術修得に励むことに。ブリーチ特化美容師になるのではなく、サロン全体で高みを目指したのだ。
「私が学んだことをシンプルにまとめてマニュアルにしました。カラーはセンスや経験で語られますが、センスや経験に頼っていては新人に技術継承できませんからね。新規集客はもちろんですが、リタッチのお客さまをメインターゲットにしているので、ダメージには気を遣います。そんなときに役立つのが、カラー剤の特徴を発売時期で見極めること。『昔からあるカラー剤=アルカリが弱め』と『新しいカラー剤=1本で染められる=アルカリが強め』に分けて、カラー剤をダメージレベルに合わせて使い分けています。ほかにも、毛髪診断をなくすためにダメージレベルを数値化したり、考え方としてはシンプルなんですよ。
表参道にはブリーチに特化したサロンはたくさんありますが、個人特化型がほとんど。でも、『サンク』全体でブリーチに特化できれば、スタッフ全員で集客できるじゃないですか。今はベージュカラーに特化していますが、システム化する仕組みがあるので、次のトレンドがくれば新しいものに対応させるだけ。それに、ブリーチやカラーだけでなくカットも大切。外部から技術講師を招いて、技術向上に努めています。カットが下手な美容師ではお客さまに支持されませんからね」

cinq

東京都渋谷区神宮前4-28-28
Lucessimoビル原宿2F
TEL:03-6804-3951

樋口すずの

ひぐちすずの。『サンク』店長。1995年生まれ。千葉県出身。アイエスティック美容専門学校(現ジェイヘアメイク専門学校)。都内1店舗を経て、『フィフス(fifth)』入社。その後、『フィフス』はメンズブランドとなり、レディスブランド『サンク』誕生。2020年、『サンク』店長に就任。

技術を統一すれば、アシスタントも入客可能!
人時生産性や時間生産性が大幅にアップ

『サンク』が開発した
秘伝マニュアル!

ブリーチカラーのスペシャリストから得た学びからエッセンスを抽出し、ワンブリーチ&ワンカップで透明感たっぷりのベージュカラーがつくれる秘伝のカラーマニュアル。色の三原色を覚えるよりカンタンにベージュカラーの基本を身につけられる。

お客さまの「なりたい色」を当てはめ、カラーを調合するだけ

難しい色の調合不要。目的色「なりたい色・やりたい色」を決め、補色を加えるだけ。ワンメイクで塗布できるように1カップで仕上げる。

【リタッチの場合】
1㎝/強ブリーチ:弱ブリーチ=1:1
2㎝/強ブリーチ:弱ブリーチ=2:1
3㎝/強ブリーチ:弱ブリーチ
=2:1or3:1(ペーパー)
4㎝/強ブリーチ:弱ブリーチ
=2:1or3:1(アルミ)

中明度を狙うためにワンブリーチ
ダメージレス&時短も叶う

時間生産性を求め、放置時間15〜20分で抜けるように強いブリーチと弱いブリーチを配合して使用。ブリーチの種類に応じた使い分けも共有。

1 ダメージなし
2 ドライヤーやアイロンによるダメージ
3 ワンカラー、ブリーチ履歴なし
4 ブリーチ履歴あり、縮毛矯正歴あり
4.5 強い薬剤で切れそうな状態
5 すでに切れてしまっている状態

難しい毛髪診断は不要
ダメージレベルを数値化して共有

時間生産性を求め、放置時間15〜20分で抜けるように強いブリーチと弱いブリーチを配合して使用。ブリーチの種類に応じた使い分けも共有。

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特化型美容師をつくりだすより、ブリーチカラーをサロン全体の強みに!

個人ブランディングではなく、サロンブランディングを大切にしているため、個人インスタではなく、集客サイトをフル活用している。昨年1月に移転オープンしたときと比べ、1年後の売上げは大幅にアップした。

集客サイト閲覧数

2022年3月:14万4554PV
2023年3月:22万3211PV

総売上(店販含む)

2022年3月:803万円
2023年3月:1112万円

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カラーマニュアルを使えば、アシスタント2週間目から入客可能

カラーマニュアルをマスターすれば、アシスタントも2週間目からカラー入客可能。最初は塗布が遅いため、ブリーチカラーで3時間半ほどかかるが、日常のサロンワークで慣れていき、2時間で仕上げられるようになる。

アシスタント1年目 吉原莉央さん

「新卒入社1カ月でカラー入客。マニュアル化されているので理解しやすく、
お客さまごとに対応を判断できるので、とてもラクですね」

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全員が同じ施術ができるため、サロンワークに全員で取り組める

全員で同じ施術ができるため、人時生産性や時間生産性がアップ。アシスタントも日常のサロンワークが実践練習となる。2週間に一度のカラー講習会で鍛え、スピードを上げていく。

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集客しやすく、売上げが上げやすい〝ベージュカラー〟

「ベージュカラーは難しい」と思っている美容師は多いが、樋口さんに言わせると「日本人の髪に合わせやすいカラー」なんだそう。ブラウンベースでつくるため、日本人に似合わせやすく、補色次第で赤みの調整ができるのでベージュ提案は難しいものではない。

  • 寒色・暖色、どちらにも振れるので季節やファッションに合わせて提案しやすい
  • ピンクベージュやミルクティベージュなどカラーバリエーションが多い
  • ワンブリーチでつくれるので、ダメージを抑えられる
  • 中明度で見せるので、ブリーチの失敗が少ない

スタイリスト 伊藤大智さん

入社7年。以前はトレンドスタイル提案を得意としていたが方針転換。「トレンドスタイルと人気のベージュカラーを合わせることで、よりお客さまの支持を得られるようになりました」

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デビュー初月の売上げ約120万円!教育も任せられる人材に

アシスタント時代から多くのカラー客を担当し、ファンを増やしてきているため、デビュー初月から売上げは100万円オーバー。また、全員が同じ教育を受けているので、デビュー後すぐに後輩を教育することができる。

スタイリスト 有村雄平さん

「都内1店舗を経て、2021年入社。今年2月にデビューしましたが、アシスタント時代から顧客確保に努めていたため、十分に売上げを上げることができました」

アイブロウ提案が顧客深度を
深める1つの武器に

『シア』では2022年の学芸大学店のオープンと同時にアイブロウメニューを導入。カットやカラーなどヘアメニューのついでに、ワックスやパーマでヘアスタイルに合ったアイブロウを提案している。現在アイブロウリストとして、3人のスタイリストが活躍している。坂狩トモタカさんは、「女性美容師のキャリアを考えたときに、高い売上げ、セミナー講師としての活躍だけがすごいのではなく、SNSでのブランディングができていることもひとつ。カットが上手に加えて、メイクが上手、アイブロウが上手という強みが増えれば、お客さまへの提案の幅が広がり結果的にキャリアアップにもつながる」と話す。
ときにサロンワーク中にお客さまからメイクをしてほしいとお願いされることもあったそう。ただしサロンワークのオペレーションの中では、なかなかフルでメイク提案をすることが難しかった。その点アイブロウはヘアデザインと合わせて提案することができ、メイクにまで会話が広がる。髪の毛が伸びるように、眉毛も伸びるので、お客さまのルーティーンづくりにもつながる。新規顧客に対してはサロンへ足を運ぶきっかけとしても機能している。
コロナ禍のマスク生活でアイブロウサロンへの注目度が高まったが、坂狩さんは決して流行りにのっているわけではないと話す。「スタンダードにメイクの提案ができるサロンづくを目指しています。事実、ヘアの方が生産性は高い。ですがアイブロウに挑戦することでスタッフにとってはプレゼン力が身につく。アイブロウをきっかけに、ヘアも任せたくなるなど、信頼関係ができる。『この人でないとダメ』と思われるような美容師を育てていきたいです」

SHEA学芸大学

東京都目黒区鷹番3-6-6
ツイン立花2 3F
TEL:03-6712-2505

坂狩トモタカ

さかがりともたか。『シア』代表。1983年1月18日生まれ。福岡県出身。資生堂美容技術専門学校卒業。著書に「#育てるハイライト」「#毛先だけパーマ」がある。

アイブロウから広がるコミュニケーション。大人世代の顧客とも会話がはずむ!

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アイブロウサロンメゾン ド プリマと提携

『ケイ・トゥー』饗場一将さんが手がけるアイブロウサロン『メゾン ド プリマ』と提携。パートナーサロンとしてアイブロウメニューを導入。かねてより親交があった饗場さんがアイブロウに注目したことから、いつかコラボしたいという思いがあったそう。アイブロウを取り入れたのは生産性を高めるのではなく、人を美しくする技術をプレゼンするため。結果的に学芸大学店で人気を集め、顧客からの「ほかの店舗でもやれないの?」という声に応えて、6月からは青山店でも個室を作って提案を始める。

中畠汐織さん

率先してアイブロウリストを兼任。1週間の研修後『シア』内で技術を共有!

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SNSでデザインを発信できる!

アイブロウの技術を修得するメリットのひとつとして、SNSでアイブロウを中心にメイクまで発信できるようになることが挙げられる。集客・ブランディングの武器としても◎。アシスタントが生産性を高めるためによく取り上げられるヘッドスパではなかなか発信が難しいのに対して、アイブロウはデザインを提案できるのでお客さまの心をつかみやすい。定期的にデザインを発信するためのネタ作りもできて、かつ接客中も自身のアカウントを見せながらデザインを提案することも多いそう。

柳川真凜さんのインスタグラム
@shea_eye_marin

古内美音さんのインスタグラム
@minon_no_mayuge

中畠汐織さんのインスタグラム
@shea_shiori

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新規雇用ではなくスタッフをアイブロウリストに育てる

アイブロウリスト
柳川真凜さん

『メゾン ド プリマ』に所属されているメイクアップアーティスト平山竜巳さんの作品が好きで以前から拝見していました。いつかお会いしたいなと思っていたところ、『シア』とのコラボが決まりました。正直に言えば、それまではメイクに自分が携わったり、サロンワークでこれほどまでにメイクが役に立つとは想像していませんでした。なので、勉強の仕方が分からず本格的に勉強していなかったのですが、『メゾン ド プリマ』とのコラボを機に一念発起。自分の強みをつくるためにも、アイブロウリストに志願しました。アイブロウをきっかけに、指名してくださるお客さまも増えましたし、メイクも含めた提案ができるようになりました。

アシスタント1年目のときから、坂狩さんの撮影に同行させてもらう中でメイクを任せてもらうこともあり、もっと技術を上げて、メイクの幅を広げたいと考えていました。当時はアシスタントだったので、スタイリストデビューに向けたカリキュラムと並行して、アイブロウのカリキュラムをクリアするのはかなりハードでした。営業終わりや店休日にコツコツと、先輩に教えてもらったり、モデル施術を積み重ねていきました。アイブロウリストになってからは、アイブロウをきっかけにお客さまと密な関係を築けるようになったと思います。大人世代のお客さまからもメイクを話題にすると共感してもらえることが多いんです。

アイブロウリスト
古内美音さん

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女性像の表現が上達 社内フォトコンで入賞

『シア』では今年に入ってから定期的に社内フォトコンテストを実施。アイブロウリストとしても活躍する柳川さん、古内さんは上位入賞の常連に。坂狩さんは「アイブロウを起点にメイクを基礎から学ぶことで、デザインの引き出しが広がります。僕自身、ビジュアルをつくるためのひとつの方法としてメイクを始めました。デザイナーとしての欲を満たす手段にもなります」とコメント。柳川さんも「眉ができるからこの女性像、このスタイルというようにトータルで考えられるようになってから、フォトコンテストで評価をもらえるようになりました」と成長を実感しているそう。

アイブロウリスト古内さんの作品。女性像がしっかり表現されている。

アイブロウリスト柳川さんの作品。トータルでの表現力が向上した。

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アイブロウの施術をきっかけに先輩の顧客を任せてもらえるように

20代前半の若手スタイリストにとって、年齢の離れた大人世代のお客さまと会話をするのは難しいもの。そんなときにアイブロウリストとして技術を身につけていると、プロとしてお客さまにプレゼンができるように。「女性同士だと世代を越えてメイクの話題は共感しやすく、会話が弾みやすいんです。親子ぐらい年齢が離れたお客さまからもプロとして頼ってもらえるようになります。関係性が深まれば、アイブロウだけでなくヘアも任せてもらえるようになります。僕はそうやって自分のお客さまがアシスタントの顧客になっていくのがうれしい」(坂狩さん)。ヘアサロンがビューティにまつわるあらゆる相談ができる場所として機能していく。

ママ美容師がつながり、
知恵や経験をシェアする場所

女性活躍推進、働き方改革といった社会の追い風もあり、女性美容師が仕事を続けやすい環境が整い、「女性も働き続ける」というように意識が大きく変わってきた。これにより、以前に比べて働き続けるママ美容師は増えたものの、家庭と仕事の両立をはじめ、ママ美容師の悩みは尽きない。そんなママ美容師が悩みを語り、仲間の助言をもらいながら解決の道を探る場が、ママ美容師オンラインコミュニティ『ママビパーク』だ。立ち上げたのは、『ヘアーデザイン3214』のスタイリスト、関口裕子さん。
「女性美容師って、出産するまでバリバリやってきた人ばかり。美容師としての自分に誇りをもっているし、技術に裏打ちされた自信もある。だからこそ、産休・育休で仕事から離れた間に技術力が低下している自分に気づいて愕然とするんですよ。でも、目の前にはかわいい我が子がいて、美容師としての成長を諦めざるを得ない状況に。技術力を上げたいなら、セミナーで学べばいいと言われますが、求職中だったり、時短勤務していると気後れしてしまうんです。子どもを育てながら第一線で活躍する女性美容師もいますが、そんな強い人ばかりじゃありません。私自身、アシスタント1年目、20歳のときに第一子を出産し、その後、第二子を授かったこともあり、スタイリストデビューできたのは31歳。その間、技術の低下も知識の吸収も中途半端な自分に自信をなくし、ずっと悩んでいました。だから、そんなママ美容師を支える仕組みをつくりたいと思ったんです。それで、コロナ禍をきっかけにママ美容師専用のオンラインコミュニティ『ママビパーク』を立ち上げました。公園で子どもを遊ばせながら、ママたちがおしゃべりするような場所をイメージしています」

MAMABI PARK

2021年スタートしたオンラインコミュニティ『ママビパーク』。会員数170名(2023年4月現在)。詳細はママビパークHPを参照。
https://lit.link/mamabipark

関口裕子

せきぐちゆうこ。『ママビパーク』園長/『HAIR DESIGN3214』(埼玉県・上尾市)スタイリスト。1986年11月9日生まれ。京都府出身。埼玉県理容美容専門学校卒業。アシスタント1年目で第一子妊娠。その後、第二子に恵まれ、スタイリストデビューしたのは31歳のとき。14歳と11歳の二人の子どもを育てるシングルマザー。

「今のままでいいんだ」「美容師でよかった」とママ美容師の自信を取り戻す!

『ママビパーク』とは

ママ美容師が悩みを分かち合い、楽しむところ

美容師としての働き方に悩んでいる/技術や知識の低下を感じる/自信をなくしている/時短勤務で情報を得にくい……といったママ美容師ならではの悩みをシェアし、解決し合うオンライン版ママサークル。「ママだからできない」と悩むのではなく、「ママだからこそできる方法」を仲間と一緒に探ることができる。

コース&会費(月額)

仲間と交流したい、少しでも学びたい
MAMABI基本コース
1100円
さらにママ美容師を楽しみたい人向け
MAMABI満喫コース
2200円
復職を考えている女性美容師さん
休眠ママ美容師コース(準備中)
未定

1

月1オンライン交流会で ママビが集まり、井戸端会議

毎月末に行われるオンライン交流会。常時30〜40名のママビが集まり、少人数のグループに分かれ、お題に合わせて井戸端会議。この日のテーマは「初心に帰る」。話をしながら、改めて美容師としての在り方を見直していた。最後に行き着いたのは「美容師という仕事が好き」「もっと美容師として向上したい」という想いだった。

2

ママ美容師を応援する各界のサポーターが学びを提供!

「女性が輝く社会のために」「子どもたちが楽しく育つためなら」とママビパークを応援するサポーターが多数存在する。セミナーを無料開催してくれたり、ママ美容師の働き方をアドバイスしてくれたり、お絵かき教室を開いてくれたり。孤独を感じていたママ美容師は、ママビパークのなかで応援してくれる仲間の存在を知る。

「ママビ雇用に特化した
サロンオーナー講演会」

『シュシュ(CHOUCHOU)』(福島県福島市)はママ美容師雇用特化サロン。出勤は自由、子ども都合で休む場合、お客さまへの連絡だけでOK。お客さまフォローはサロンが対応するなど働きやすい環境を整えている。代表の武藤鎌矢さんが、ママ美容師雇用の秘訣を紹介するオンラインセミナー。

「イラストレーター326さんのお絵かき教室」

ゆうこ園長がファンだったことから、イベント開催が叶った「326さんのお絵かき教室」(東京/大阪開催)。東京では13組の親子が参加した。お絵かきに夢中になっている子もいれば、走り回る子も。自由な環境で、親も子も伸び伸び楽しむことができた。ママ美容師だけでなく、夫も参加可能。

イラストライター 
326(ナカムラミツル)さん

ポップなイラストに独特の詩をのせ、人々の心を奮わせるイラストライター。本業の傍ら、小児ガン新薬承認活動を行うなど子どもに寄り添った活動を盛んに行っている。

3

日本全国にいるママビ仲間と つながることで自信アップ!

出産や育児によるキャリアの中断がどれほど、美容師としての自信を奪ってしまうかは当事者でないとわからないもの。「子どもが生まれた頃、ゆうこ園長のSNSを見て、同じ悩みを抱えている人がいるんだと思って参加したのがきっかけ。復職のタイミングや働き方で悩んでいたのでとても助けられました」と盛さん。

Prime(山形県・山形市) 盛さん

4

ママビの独立、先輩の意見を 参考に出店を叶える

さまざまな経験をもつママビが揃っているので、アドバイスを求めれば、多方向から意見を聞くことができる。「自宅兼サロンを開くに当たり、アドバイスを求めて『ママビパーク』に参加。先輩方にアドバイスをいただいたおかげで、育児しながらでも働きやすい環境を整えることができました」と美山さん。

Havana(東京都・荒川区) 美山 愛さん